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「韓国嫌い」中高年から見える、日本の危機

 こんにちは、立憲民主党の、山岸一生です。

目次

山岸一生のツイート

 「嫌韓ビジネス」の消費者層がよく分かります、というツイートをしたら、多くの皆さんのご意見をいただきました。ありがとうございます。

(ブログにTwitterのツイートを引用して表示する、という機能を初めて利用してみました。上手に表示されているでしょうか…。)

 私、山岸一生のツイートを改めて整理します。

 「嫌韓ビジネス」の消費者層がよく分かります。いっとき言われた「若者の右傾化」よりも「中高年のネトウヨ化」こそ、日本社会の直面する問題ではないか。私の実感です。

 今後、疎外感や不安感を抱える、主に都市部の中高年層が、排外に向かう傾向が出てくると考えています。逆に、若者は不安を「自分のせいだ」と思い込まされていて、これも問題です。私たちの「不安」を直視しない社会は危ない。

 私のツイートについて、多くの皆さんから、多くのご意見を頂きました。ありがとうございます。

 そこで、改めて私、山岸一生の考えを整理して、ブログでお伝えしたいと思います。

山岸一生の考え

「若者の右傾化」

 朝日新聞の世論調査で、韓国を「嫌い」と答えた人の割合が、年齢が高いほど多いという結果が報じられていました。

 意外に思われた方も多いかもしれません。

 これまで日本ではよく、「若者が右傾化している」と言われてきたからです。

 しかし今回の調査結果は真逆です。

 韓国を好きか嫌いかが「右傾化」のバロメーターとして有効だとすれば、中高年ほど右傾化している、ということになる。

 実は、私の実感もこれに近いのです。

 そもそも「若者の右傾化」は、古市憲寿さんの「絶望の国の幸福な若者たち」が出版された2011年ごろを中心に、かなり広まった言説です。

 最近の若者は現状維持指向が強く、政治的には自民党支持で、SNSではネトウヨ的主張をすることが多い、という理解が広まっていきました。

 ただ、この過程で「保守化」と「右傾化」がやや混同されたきらいがありました。

私、山岸一生が新聞記者として沖縄で取材をした実体験

 そのころ私は、新聞記者として仕事をしていましたが、若者論や世代論を論じられるような取材をしていたわけではありません。

 ですが2013年から2015年にかけて沖縄で仕事をする中で、「若者=右傾化」は本当だろうかと考えるようになりました。

 きっかけは、米軍基地問題をめぐるネット上の論争。

 当時、目立っていたのは、米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対する人を「反日」「中国のスパイ」などと決めつけるネトウヨの存在でした。

 いったい、どういう人がやっているのだろう。

 SNSの書き込みから会いに行ったり、デモの現場で話を聞いたりしました。

 あなたは、どんな人だったと思います?

 答えは「おじさん」でした、誤解を恐れず、一言でいえば。

 私が接触することのできたネトウヨ活動の担い手は、50代の男性がほとんどでした。

 辺野古反対のデモには、戦争を知る高齢者から10代の学生まで幅広いのに比べ、ネトウヨ系活動は圧倒的に「おじさん」の熱気がむんむんしていました。

 そして、みんな勉強熱心でした。

 私は賛成しませんが、彼らは「沖縄を奪おうとする中国」に対して、本気で恐れ、怒っていました。

 中には職業活動家もいましたが、一般の参加者は、ふざけてやっているようには見えませんでした。

 右傾化した若者ではなく、不安や怒りを抱えた「おじさん」こそ、ネトウヨになっていた――これが、私の肌感覚です。

 もちろん部分的な観察ですが、ついでに言えば、私も、先の参議院議員選挙の際の街頭演説、街かどスピーチで何度か罵声を浴びましたが、すべて中高年男性からいただいたものです。

中高年男性の怒りや不安

 世のお父さん方、ここで怒らないでください。

 私は、中高年男性批判をしようと思って書いてきたのではありません。

 「中高年男性のネトウヨ化」を認め、その原因にきちんと向き合うことが、社会全体として重要な課題ではないか、と考えるからです。

 寺島実郎さんが「ジェロントロジー宣言~『知の再武装』で100歳人生を生き抜く」で、シニア世代の「都市新中間層」が日本のカギだと指摘しています。

 「都市新中間層」とは平たく言えば、首都圏近郊の持ち家に住む(元)サラリーマン家庭です。

 このうち特に男性は、勤めを辞めた後、地域のつながりも弱く、プライドを維持するのが難しい。

 仕事を続けようにも、「自分の人生で積み上げてきたこととは異なる分野に踏み込むことになり、多くの場合、失望と違和感に苦しむことになる」(同書)のです。

 どうやったら、中高年男性が誇りと自信をもって人生100年の生活設計を描けるようにするのか。

 ここで対処を間違えると、怒りと不安の矛先が、おかしな方向へ向かいかねません。

 その極端な表れが、「ネトウヨ化する中高年男性」なのです。

 そして忘れてはならないのは、都市新中間層はこれからの日本政治の行方を左右する大きさがある、ということです。

 寺島さんは、高齢化と地方衰退が合わさった結果、日本の民主主義において「大都市の高齢者による意思決定が重くなると言える。高齢化した都市新中間層がどう動くかが、これからの日本の運命を決める」(同書)と指摘しています。

 日本の右傾化とは、「大都市の高齢者」の不安の問題だ――大胆にとらえなおしてみることで、この問題は「対岸の火事」ではなくなります。

 それは私たち自身の親たちの問題だからです。

 私は、差別や脅迫は許しません。

 しかし、「ネトウヨ化する中高年男性」の抱える怒りや不安に、正面から向き合うことこそ、私たちリベラルが担う役割だと考えます。

山岸一生の編集後記

 今日の記事は文字数が多いので、「山岸一生新聞」ではなく、原稿にしてみました。

 まだまだ試行錯誤中ですが、皆さんから多くのご意見をいただいたツイートは、私、山岸一生の考えを、文字数の制限の無いブログで整理してお伝えしてみたいと思います。

 明日の東京は気温が大きく下がるとのこと。

 東京の島しょ部でも、千葉県でもまだ電気などの生活インフラが復旧せず大変な時間をお過ごしの方も多いです。

 くれぐれもご自愛ください。

 それでは、立憲民主党の山岸一生でした。

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