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安倍晋三首相の内閣改造の本質を読み解く~2

山岸一生が安倍晋三首相の内閣改造の本質を読み解く

山岸一生新聞・2019年9月12日号

「目くらまし」の小泉人事

 安倍晋三首相は2019年9月11日、内閣を改造しました。改造の狙いを、山岸一生さんが分析する2回目は、耳目を集めた小泉進次郎氏の「裏側」について。

踊らされた報道 奮起を

 前回、萩生田氏と衛藤氏に注目する重要性をお伝えしました。一方、小泉進次郎氏の初入閣は、「目くらまし」とも書きました。今日は、この点をご説明します。

 前もって「入閣はない」とネタを流し、最後にサプライズとして華々しくぶち上げる……小泉氏の人事は、絵にかいたような古典的な「スピン」(話題そらし)です。

 そうすればメディアは「在庫一掃の中で、小泉氏の起用で政権浮揚を狙った」「小泉氏の入閣は本人にとっては賭けだ」など、どっちみち小泉氏を中心に描くことになります。その陰で、肝心の萩生田、衛藤両氏の人事には光が当たらなくなります。メディアは、改造前から政権の「筋書き」に付き合わざるを得ないように、仕向けられていたのです。

 私も新聞記者だったから、後悔を込めて、現場の感覚が分かります。内閣改造は政治記者にとっては「お祭り」です。いち早く人事を抜きたい、そのために必死に取材します。しかし今や、記者が必死に取材すればするほど、政権から、報道の道筋をコントロールために使われてしまうのです。

 今回、改造前日の9月10日午後になって、時事通信が「小泉氏入閣せず」と速報を流しました。記者は必死だったでしょう。入閣説が出始める中で、信頼できると思っていた政府首脳に取材したのでしょう。首脳は、「進次郎ネタ」をギリギリまで引っ張りたい。「ないよ」と言ったに違いない。記者は安堵して「入閣せず」と書いた。でも政府首脳にとっては、記者との信頼関係よりも、「進次郎ネタ」を引っ張ることのほうが大事だった。

 結果として時事通信社は誤報を出し、記者は傷つき、話題は小泉氏に集まり、政府首脳は高笑い。たぶん「ごめん、あの時はわからなかったんだ」と記者に電話ぐらいしているのでしょうが、後の祭りです。

 こんな「政治とメディア」の関係、私たちが期待していたわけではありません。私も新聞記者として、こんな関係を追い求めてきたわけではありません。「政治記者の最大の仕事は権力監視だ」、そう教わって、自分なりに頑張ってきました。しかし残念ながら、これが2019年秋の日本の現実です。

 ますますメディアコントロールを洗練させていく政権に対して、従来型のメディア組織、記者教育、取材慣行では、太刀打ちができないところまできてしまっています。後輩たちの奮起と、先輩方の大胆な発想転換を期待したいと思います。

山岸一生新聞編集後記

 皆さん、こんにちは、立憲民主党の山岸一生です。

 山岸一生新聞、今日は日刊で発行することができました。

 昨日に引き続き、今日の山岸一生新聞では、内閣改造の読み解きをお送りします。

 小泉人事から見えた、「政治とメディア」の現在地について。

 元記者の一人として、このところ、不安に思う事態が続いています。

山岸一生の活動写真

 今日の山岸一生新聞で使用した写真は、東京都調布市の、調布駅前での街頭活動、街角スピーチのものです。

 なかなか東京都全域を回ることは難しいのですが、機会ある限り、参議院議員選挙のご報告と、これからの山岸一生の政治活動に向けた誓いを、お話しています。

 この日は地元の山花郁夫衆議院議員とともに行いました=2019年9月5日。

 それでは、立憲民主党の山岸一生でした。

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