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「あさイチ」抗議に透ける事大主義

 こんにちは、立憲民主党の、山岸一生です。

目次

山岸一生のツイート

 今日のブログも前回に続いて、私、山岸一生のツイートに多くのご意見をいただいたものについて、私の考えを整理してお話ししたいと思います。

 ツイートに多くのご意見をいただいた皆さん、ありがとうございます。

(ブログにTwitterのツイートを引用して表示する、という機能を前回に続いて利用してみました。ツリー形式のものを引用するのは初めてです。上手に表示されているでしょうか…。)

 私、山岸一生のツイートを改めて整理します。

 この「あさイチ」私も見ました。コメンテーターが「まずは知ることから」と繰り替えすのが、私には物足りなかった。それでも今のNHKの立場を考えれば、果敢に、難しい課題を全国に伝えました。それに市長・市議会が抗議って。地域の課題が広く伝わると困るのでしょうか?

 事実関係が間違っているなら防衛省が抗議するのが筋。今、垣間見えるのは「NHKがお国の悪口言ったんで、僕ら市議会で抗議しますんで、安倍さんよろしくお願いします」――というおもねり、「事大主義」。事大主義と戦い抜いたのが翁長雄志 前知事でした。まだまだ、根強いようです。

 ひたすら政権におもねってきた石垣市長の、与党単独による決議。放送内容は、地元で出てる指摘の「おさらい」レベルなのに過剰反応。「NHKは今叩きやすい」「政権にアピールになる」といういやらしさを感じます。

 私、山岸一生のツイートについて、多くの皆さんから、多くのご意見を頂きました。ありがとうございます。

 そこで、改めて私、山岸一生の考えを整理して、ブログでお伝えしたいと思います。

山岸一生の考え

沖縄県石垣市議会の抗議決議

 沖縄県の石垣市議会が2019年9月17日、NHK「あさイチ」への抗議決議を可決しました。

 中山義隆石垣市長による抗議に続くもので、市長与党の自民党などの賛成多数で可決しました。

 「あさイチ」は2019年8月末放送の沖縄特集で、石垣島からのレポートを放送。島への自衛隊配備をめぐる問題などを扱いました。

 ほかに6月23日の「沖縄慰霊の日」の取材など、石垣島の今を、多面的に報じた企画でした。

 これに対し中山石垣市長と与党は、自衛隊配備問題でのテロップと映像が「視聴者に誤解を与える」と批判しました。

 映像には「一部の川」しか映っていないのに、テロップが「水系全体」のことを説明していたのはおかしい、という趣旨です。

 内容の当否はここでは分析しません。

 指摘したいのは、「地域で賛否の割れる国策を取り上げた番組に、その自治体が抗議する」、この構図のおかしさです。

 「国が進める事業に対して、住民に不安視する声がある」。

 それを放送するのは、メディアの責務です。

 内容にもし間違いがあったとしたら、抗議すべき主体は、事業を進めている防衛省が行うのが筋です。

 市役所と市議会は、いうまでもなく国ではなく、住民を代表する立場のはずです。

 ところが今回、中山石垣市長と石垣市議会与党は、国策に協力する立場から、「批判的な意見を紹介する放送は問題だ」とばかりに、抗議しました。

 これによって皮肉にも、市長と市議会与党は、「私たちは防衛省の代理人であり、住民の代表ではありません」と宣言してしまったようなものです。

 地方自治のよって立つ根拠を自ら掘り崩す行為であり、残念でなりません。

沖縄の「事大主義」

 私、山岸一生が新聞記者として仕事をした沖縄では、「事大主義(じだいしゅぎ)」という言葉があります。

 事大主義を表すことわざとして、「食べさせてくれる人が、私の主人」、こんな表現もあります。

 要は「長いものに巻かれろ」という気質です。

 今年、室井康成さんの「事大主義―日本・朝鮮・沖縄の『自虐と侮蔑』」という新書が出たばかりですが、沖縄では現代でも、半ば「自虐」的な自己像として使われています。

 この事大主義が今も生きていることを、まざまざと見せてつけてくれた、今回の出来事でした。

 しかし見落としてはならないのは、こうした沖縄の事大主義に「依存」している部分が、本土に暮らす「私たち」の中に確かにあるということです。

 石垣への自衛隊配備問題は、日本の離島防衛をどう考えるか、という「私たち」の問題のはずです。

 「あさイチ」もその視点でした。

 ところがその放送に対して、事大主義にとらわれた地方政治家が、政権におもねって抗議してしまった。

 すると、せっかく「自分ごと」として意識するきっかけを得たのに、本土の「私たち」は、「ああ、いろいろ地元でもめている話なのね。かかわらないでおこうか」と思ってしまいます。

 実際、今回の抗議を受けて、メディアの人は「なんかめんどくさい問題だな。うちも扱うのはやめようか。地元の話だし」となるでしょう。

 それこそが、事大主義の落とし穴です。

 事大主義は、「おもねる側」と「おもねられる側」をはっきり分離します。

 そして「おもねられる側」に、自分たちの問題ではないという、一種の免罪符を与えます。

 「なんか向こうでもめているけど、まあ彼らもいろいろあるんでしょ」と。

 今回の抗議事件は、こうやって本土の側に「沖縄から免責される理由」をまた一つ、与えてしまったように思います。

 だからこそ、命を懸けて事大主義に立ち向かった、翁長雄志・前知事の足跡の重みを感じます。

 「小さな沖縄が戦うには、まとまらなければいけない」「沖縄が本土に甘えているんですか、本土が沖縄に甘えているんですか」。

 翁長知事が投げかけた問いは、今も増して私たちに問いかけています。

山岸一生の編集後記

 今日も文字数が多いので、「山岸一生新聞」ではなく、原稿にしてみました。

 どちらが皆さんに伝わるのか、試行錯誤です。文字数や内容によって使い分けるか、いろいろと考えています。

 よろしかったら、ご意見をお聞かせください。

 週末は3連休という方も多いと思いますが、千葉県は雨が降る予報が出ています。

 これ以上、被害が大きくならないこと、できるだけ早期に皆さんの生活に平穏が戻ることを願います。

 それでは、立憲民主党の山岸一生でした。

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