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質問主意書という「沼」

 皆さん、こんにちは。立憲民主党、東京9区選出の衆議院議員、山岸一生です。

目次

国会議員の「最大の権限」

 国会議員の最大の権限は、調査と質問にあります。

 国民の皆さんに代わって、内閣・政府から聞き出す。

 なにを、どうやって聞けば、中身のある答えを引き出せるか。ここが議員の腕の見せ所です。

質問主意書

 「質問」には、衆議院や参議院の本会議や、国会の委員会でのやりとり以外にも、文書による方法があります。

 これを「質問主意書」と呼びます(国会法第74条第2項)。

 質問主意書は、国会の開会中だけ、提出することができます。

 そして内閣からの答弁・回答は、原則として文書によって行われ、これを「答弁書」と言います。

 内閣の答弁書は閣議決定される正式な公文書なので、きちんと記録に残ります。

質問主意書のコツ

 ですがこの質問主意書、落とし穴だらけ。

 内閣から中身のある回答を引き出すには、相当な準備とコツがいります。

 きょうは想像上の例を挙げて、ご説明したいと思います。

「カレーライス」を聞き出す難しさ

 例えば、あなたが友だちと一緒に友だちの行きつけのお店に行って、友だちに「おすすめを教えて」と聞けば「カレーライスがおいしいよ」と答えてくれますよね、普通の会話なら。

 でも、そうはいかないのが質問主意書です。

 もし質問主意書で「総理官邸のおすすめのメニューは何か」と聞いたら、こう返ってきます。

「『おすすめ』の意味が定かでないのでお答えは困難である」

 実際これが一番よくあるパターン。

 聞き方を工夫しないと、「ちょっと何言ってるかわからない」と言わんばかりに、門前払いされてしまうのです。

 では聞き方を変えてみましょう。

 「官邸の食堂で人気のメニューは何か」と聞いたらどうでしょう。

 一般的な感覚なら、「これなら何かメニューを答えてくれるだろう。」と思いますよね。

 でも、多分これも難しいです。

「個別の商品についての評価は差し控える」

 と返ってくるでしょう。

 ここまでを一度整理すると、内閣・政府に「主観的・定性的な評価」を求めてもだめなんですね。

 では、「客観的・定量的な事実」を聞いてみることにしましょう。

 「官邸職員が一番多く食べているメニューは何か」ではどうでしょう。

 これなら「客観的・定量的な事実」ですし、答えが返ってくると思いますよね。

 でも残念ながら、これは別の切り口で、跳ね返されてしまうでしょう。

「職員の公務外の行動について承知していない」

 まさに、ああ言えばこう言う。

 あくまで「内閣・政府の取り組み」について、「客観的・定量的」に質問しないと、答えてくれません。

 では、この二つの要件を兼ね備えた聞き方を考えると…?

 「官邸の食堂で最も多く販売されているメニューは何か」。

 これで回答にかなり近づいてきた気がしますよね。

 でも、この質問にはこんな答えが予想できます。

「官邸内に食堂は3軒あり、それぞれ売上規模も異なるため、販売量を一概に比較することは困難である」

 だいぶ迫っていますが、まだ隔靴掻痒です。

 さらに絞り切らないといけません。絞り切ってみましょう。

 「官邸2階の職員食堂で、令和3年度に、最も多く販売されたメニューは何か」。

 これ以上考えられないくらいに絞り切りました。

「カレーである」

 やりました!

 こうしてようやく、官邸のおすすめメニューはひとまずカレー、という答えにたどり着くことができました。

 実際にここまでのやりとりで、数か月はかかるでしょう。

 内閣・政府におすすめメニューを教えてもらうのも簡単ではありません。

中身のある「回答」を得るために

 以上の例はあくまで思考実験でしたが、質問主意書の仕組みが少しでも伝わったでしょうか。

 国会議員側としては、少しでも中身のある回答を引き出し、政策の検証や立案に生かしていきたい。

 でも、内閣・政府は、なるべく入り口で絞り、細かく答えずに済ませたい。

 国会議員と内閣・政府との攻防です。

 当然、圧倒的な組織力と情報量を誇る内閣・政府に対して、国会議員ひとりでは徒手空拳です。

 私一人では思いつかないような視点を、皆さんそれぞれお持ちだと思います。

 はじめに述べたように、議員の大きな権限は、調査と質問です。

 その権限を生かしきるには、幅広い知恵が必要です。

 「この問題はこのタイミングで聞いてほしい」「このテーマは、こういう切り口で聞いたらどうか」。

 あなたの声を受けて、山岸一生が切り込みます。

 山岸一生が考える「ボトムアップ」の一つの形です。

 どうぞあなたの力をお貸しください。

 あ、でも、山岸一生は「午前4時に石神井公園駅」にはいませんが。

 それでは、立憲民主党、東京9区選出の衆議院議員、山岸一生でした。

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