2024/02/22
みなさん、こんにちは。
立憲民主党の衆議院議員(衆議院東京9区・東京都練馬区西部選出)の山岸一生です。
目次
私、山岸一生は、昨日、2024年02月21日・水曜日の衆議院予算委員会で質問に立ちました。
そこで取り上げた「裏金はマネーロンダリングなのではないか」という質問に多くの反響をいただきありがとうございます。
こちらのポストは143万ビュー以上になっています(本記事執筆現在)。
また、動画でもご紹介いただいています。
テロップを付けてご紹介いただきました、ありがとうございます。
ご紹介いただいた方、リポストなどで広めていただいた方、コメントをいただいた方、ご覧いただいた方、皆さんに改めてお礼申し上げます。
多くの皆さんにご注目いただきましたが、法律論が多くわかりにくい部分もあったかと思います。
そこで、こちらの記事で捕捉してご説明します。
私、山岸一生は、以下のような問題意識を持ち、調べてきました。
一点目。
今回の自民党の裏金事件は、組織犯罪処罰法・犯罪収益移転防止法でいうマネロン罪にあたりうる事件で、政治資金収支報告書に不記載・虚偽記載された政治資金は「犯罪収益」として没収の対象になりうるのではないか?
二点目。
今回の自民党の裏金事件は、単に「自民党の政治家のカネの管理がルーズ」「自民党が違法に裏金を作った」というレベルの話ではなく、国際金融規制の世界でははっきりと「組織犯罪」「犯罪収益」「マネーロンダリング」にカテゴライズされる深刻・重大な事件ではないか?
となると、「政治とカネの問題」「政治資金規正法違反」というレベルではなく、世界の中での「日本という国」の信頼に関わる極めて重大な事件なのではないか?
こうした「深掘りの議論」は、テレビ中継のある予算委員会では、なかなかすることができません。
そこで、昨日、2024年02月21日・水曜日にテレビ中継なし総理の出席なしの「一般質疑」の機会をいただいたので、大臣たちに直接、問うことにしました。
以下は複雑な法律の話しで、わかりにくい部分もあるかと思いますが、できる限りわかりやすくご説明したいと思います。
これは、私、山岸一生が、政治は「専門家(政治家)だけがすればいい」ものではなくて、「皆さんのもの」だと考えるからです。
専門の法律家の皆さんがご覧になるとやや不正確に見える部分もあるかと思いますが、本記事は「皆さんにわかりやすく質疑の内容をお伝えする」ことを目的とするもので、「法律論文」ではないのでご海容いただければ幸いです。
まず、組織犯罪処罰法についてです。
組織犯罪処罰法は正確には「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(1999年法律第136号)」と言います。
組織犯罪処罰法は、一定の犯罪類型について、その犯罪でもうけた収益を「犯罪収益」として扱う整理をしています。
その一定の犯罪類型を「前提犯罪」と呼びます。
もっと簡単に整理すると、「前提犯罪」で儲けた利益を「犯罪収益」と呼びます。
これだけ覚えてください。
「前提犯罪」で儲けた利益を「犯罪収益」と呼びます。
大事なポイントなのでもう一度。
これだけ覚えてください。
「前提犯罪」で儲けた利益を「犯罪収益」と呼びます。
まず確認したのが、組織犯罪処罰法の「前提犯罪」に、自民党の裏金事件、つまり政治資金規正違反(政治資金収支報告書の虚偽記載・不記載)は、含まれるか、です。
皆さんおわかりの通り、自民党の裏金事件、つまり政治資金規正法違反(政治資金収支報告書の虚偽記載・不記載)が「前提犯罪」に含まれるとすれば、自民党の裏金議員が儲けた利益は「犯罪収益」とされる場合があります。
私、山岸一生は、組織犯罪処罰法を所管する法務大臣に以上の点を確認しました。
小泉法務大臣の答えです。
「組織犯罪処罰法10条は、一定の罪にかかわる犯罪収益等の隠匿等を処罰するものであり、その一定の罪として『財産上の不正な利益を得る目的で犯した死刑または無期もしくは長期4年以上の懲役もしくは禁固の刑が定められている罪』などと規定されております。
他方で、ご指摘の収支報告書の虚偽記載(略)は、法定刑が『5年以下の禁固』(略)と定められているところです。
この行為が財産上の不正な利益を得る目的で犯した罪に当たるかどうかについては、捜査機関により収集された証拠に基づいて個別に判断されるべきものと承知しています。」
以上が小泉法務大臣の答弁です。
法律に不慣れな方だとわかりにくいかと思う長い答弁ですが、ひと言でまとめれば「含まれうる」ということです。
小泉法務大臣の答弁を整理します。
組織犯罪処罰法が定める「前提犯罪」に該当するためには二つの要件が必要である。
一つ目は、法定刑が「懲役または禁固4年以上」の犯罪であること。
二つ目は、財産上の不正な利益を得る目的で犯した犯罪であること。
では、小泉法務大臣の答弁の、「組織犯罪処罰法が定める『前提犯罪』に該当するための二つの要件」に、今回の自民党の裏金事件 、つまり政治資金規正違反(政治資金収支報告書の虚偽記載・不記載)が当てはまるかを確認しましょう。
まず一つ目の、法定刑が「懲役または禁固4年以上」の犯罪であること。
政治資金規正法違反(政治資金収支報告書の虚偽記載・不記載)の法定刑は、「5年以下の禁固刑」(政治資金規正法第25条)です。
一つ目の要件に該当することは争いがありません。
次に二つ目の、財産上の不正な利益を得る目的で犯した犯罪であること。
これについては法律の明文の規定はありませんから「法律の解釈次第」ということになります。
政治資金規正法違反(政治資金収支報告書の虚偽記載・不記載)が「財産上の不正な利益を得る目的で犯した犯罪」と言えるか、という論点になります。
では次は犯罪を捜査する警察の出番です。
私、山岸一生は、松村国家公安委員長に「政治資金収支報告書に不記載にすることによって政治資金を隠匿した場合、これを組織犯罪処罰法の『犯罪収益』として、マネロン罪の観点から捜査をし、没収をする、これは法律上可能か」と質問しました。
核心である、政治資金規正法違反(政治資金収支報告書の虚偽記載・不記載)が「前提犯罪」に該当し、儲けた利益を「犯罪収益」とすることができるか、という質問です。
松村国家公安委員長の答弁です。
「警察は、前提犯罪については(略)犯罪収益の存在も念頭に、当該犯罪収益にかかる隠匿、収受罪の適用、関係機関と連携した当該犯罪収益の没収等を視野に捜査を進めるものと承知している。」
これも法律に不慣れな方だとわかりにくいかと思う答弁ですが、松村国家公安委員長の答弁をひと言でまとめれば、警察が組織犯罪処罰法の「前提犯罪」に含まれる犯罪があると考えた場合は、マネーロンダリングの観点から捜査するということです。
以上の質疑を整理します。
まず、大前提として「前提犯罪」で儲けた利益を「犯罪収益」と呼ぶことは先ほどご説明しました。
今回の自民党の裏金事件が組織犯罪処罰法の「前提事実」に該当する場合がある、ということは前述したように小泉法務大臣の答弁で明らかになりました。
そして、「政治資金収支報告書に不記載にすることによって政治資金を隠匿した場合、組織犯罪処罰法の『犯罪収益』に該当して没収することが可能な場合もある」ということが松村国家公安委員長の答弁で明らかになりました。
ですから、警察が自民党の裏金事件をマネーロンダリングの観点から捜査することもありうる、ということになります。
以上が概念の確認、法制度上の建付けの話です。
では、実際に警察が自民党の裏金事件をマネーロンダリングの観点から捜査に取り組むかかどうか。
もちろん、国会で個々の事件について答弁を得ることは容易ではありません。
今回も予想した通り、最初は、大臣の答弁も「個々の事件についてのコメントは控える」というものでした。
ですが、ここで引き下がるわけにはいきません。
私、山岸一生はさらに踏み込んでみました。
なぜなら、私、山岸一生は、今回の自民党の裏金事件は「単なる自民党のスキャンダル」「政治とカネの問題」という簡単な問題ではないと考えているからです。
残念ながら日本はマネーロンダリングの対策が甘い、弱い、と言われています。
私、山岸一生は、今回の自民党の裏金事件は日本のマネーロンダリング対策の弱点を物語る象徴的な事例であり、単なる政治資金規正法違反、政治とカネの問題ではなく、「マネーロンダリング対策の観点」から切り込むことに、大きな政治的意義があると考えます。
詳しくご説明します。
国際的なマネーロンダリング対策を協議する国際組織にFATF(ファトフ)があります。
FATFは定期的に各国のマネーロンダリング対策を評価しているのですが、日本が特に弱いと指摘されていることがいくつかあります。
具体的に、FATFの指摘を二つ挙げます。
まず一つ目が、国内のVIP・要人(FATFの言葉ではPEPSと言います。政治家、高位の公職者、王族・貴族などを指します。)に甘いのではないかということ。
二つ目が、マネーロンダリングで得た収益の没収機能が弱く、犯罪収益を当局が没収できていないのではないかということ。
今回の自民党の裏金事件を想い出してみます。
政治家に甘く、「政治資金です」と言われてしまったら逃げ切れる。
疑惑は明らかなのに、納税もさせられず「逃げ得」になりかねない。
いかがでしょう。
まさに、今回の自民党の裏金事件はこのFATFの指摘「ドンピシャリ」ではないでしょうか。
このように今回の自民党の裏金事件は日本が国際社会から「マネーロンダリング対策のここが弱い」と言われているところに、ぴったり当てはまる事例なのです。
たまに「野党はいつまで裏金事件を話しているんだ」「裏金事件の話しは捜査機関の問題だ、国会で取り上げるような話しではない」というご意見をいただきます。
しかし、私、山岸一生は、今回の自民党の裏金事件はそんなレベルの話しではなく、「マネーロンダリング対策」という国際的な日本の信用に関わる重要な問題だと考えて国会で質問しています。
ここにメスを入れることができれば、日本のマネーロンダリング対策は、飛躍的に進みます。
また国際社会に対しても、日本はマネーロンダリング対策をしっかりと行っている国であるということを示すことにもなります。
つまり、日本のマネーロンダリング対策を、力強く前に進める、大きな突破口になるのです。
逆に今回の問題を放置しては世界から「日本はマネーロンダリング天国」と見られかねません。
これは国際的な日本の信用に関わる重要な問題であり、国会で政治家が議論しなければならない重要な問題です。
この観点から、関心を持って取り組んではどうか、松村大臣にもう一度、食い下がりました。
山岸一生
「現場の捜査員も見ている。日本はマネロンに厳しい国で、政治家であっても厳しくやるんだという姿勢を示すことが、国際金融経済における日本の信頼を高めるうえでも意義がある。もう一言。」
松村国家公安委員長
「警察として捜査をするかどうかは、具体的事実関係に即し、法と証拠に基づき判断することになるものと承知します。その意味では、ご指摘の調査結果に対する警察の対応については一概に申し上げることは困難であることをご理解いただきたいと思います」
もちろん、国会で個別の案件について答弁する難しさは理解しています。
松村国家公安委員長の答弁は慎重な言い回しですが、「ノー」ではありませんでした。
この答弁をいただけたことは重要な意味があると考えます。
組織犯罪の撲滅に取り組む捜査現場のみなさんは、松村国家公安委員長の答弁で奮起されたのではないでしょうか。
ここでもう一度、この動画をご覧ください。
裏金は、脱税であると同時に、マネーロンダリング。
マネーロンダリングなら、「納税」ではなく、組織犯罪処罰法に基づき「犯罪収益」として没収されて国庫に帰属する。
前回のブログで「政治に市民常識を!」という記事を書きました。
「永田町の常識は、世間の非常識」を変えて、「永田町も、世間のルールに従う」「政治に市民常識を!」というあたりまえの姿へ。
これからもただしていきます。
2024年02月21日 水曜日の衆議院予算委員会での山岸一生の質疑はこちらからご覧いただけます。
全編一気にご覧いただくのは少し長いので、12分×3回、なんていかがでしょうか。
私、山岸一生は「市民常識」に照らして、おかしいことにはおかしい、と言い続けます。
その先に、まっとうな政治があると信じます。
あなたの声をお寄せください。
立憲民主党は、あなたです。
衆議院議員 (立憲民主党・東京9区・東京都練馬区西部選出) 山岸一生