2022/08/05
皆さん、こんにちは。立憲民主党、東京9区選出の衆議院議員、山岸一生です。
目次
国会議員の最大の権限は、調査と質問にあります。
国民の皆さんに代わって、内閣・政府から聞き出す。
なにを、どうやって聞けば、中身のある答えを引き出せるか。ここが議員の腕の見せ所です。
「質問」には、衆議院や参議院の本会議や、国会の委員会でのやりとり以外にも、文書による方法があります。
これを「質問主意書」と呼びます(国会法第74条第2項)。
質問主意書は、国会の開会中だけ、提出することができます。
そして内閣からの答弁・回答は、原則として文書によって行われ、これを「答弁書」と言います。
内閣の答弁書は閣議決定される正式な公文書なので、きちんと記録に残ります。
ですがこの質問主意書、落とし穴だらけ。
内閣から中身のある回答を引き出すには、相当な準備とコツがいります。
きょうは想像上の例を挙げて、ご説明したいと思います。
例えば、あなたが友だちと一緒に友だちの行きつけのお店に行って、友だちに「おすすめを教えて」と聞けば「カレーライスがおいしいよ」と答えてくれますよね、普通の会話なら。
でも、そうはいかないのが質問主意書です。
もし質問主意書で「総理官邸のおすすめのメニューは何か」と聞いたら、こう返ってきます。
「『おすすめ』の意味が定かでないのでお答えは困難である」
実際これが一番よくあるパターン。
聞き方を工夫しないと、「ちょっと何言ってるかわからない」と言わんばかりに、門前払いされてしまうのです。
では聞き方を変えてみましょう。
「官邸の食堂で人気のメニューは何か」と聞いたらどうでしょう。
一般的な感覚なら、「これなら何かメニューを答えてくれるだろう。」と思いますよね。
でも、多分これも難しいです。
「個別の商品についての評価は差し控える」
と返ってくるでしょう。
ここまでを一度整理すると、内閣・政府に「主観的・定性的な評価」を求めてもだめなんですね。
では、「客観的・定量的な事実」を聞いてみることにしましょう。
「官邸職員が一番多く食べているメニューは何か」ではどうでしょう。
これなら「客観的・定量的な事実」ですし、答えが返ってくると思いますよね。
でも残念ながら、これは別の切り口で、跳ね返されてしまうでしょう。
「職員の公務外の行動について承知していない」
まさに、ああ言えばこう言う。
あくまで「内閣・政府の取り組み」について、「客観的・定量的」に質問しないと、答えてくれません。
では、この二つの要件を兼ね備えた聞き方を考えると…?
「官邸の食堂で最も多く販売されているメニューは何か」。
これで回答にかなり近づいてきた気がしますよね。
でも、この質問にはこんな答えが予想できます。
「官邸内に食堂は3軒あり、それぞれ売上規模も異なるため、販売量を一概に比較することは困難である」
だいぶ迫っていますが、まだ隔靴掻痒です。
さらに絞り切らないといけません。絞り切ってみましょう。
「官邸2階の職員食堂で、令和3年度に、最も多く販売されたメニューは何か」。
これ以上考えられないくらいに絞り切りました。
「カレーである」
やりました!
こうしてようやく、官邸のおすすめメニューはひとまずカレー、という答えにたどり着くことができました。
実際にここまでのやりとりで、数か月はかかるでしょう。
内閣・政府におすすめメニューを教えてもらうのも簡単ではありません。
以上の例はあくまで思考実験でしたが、質問主意書の仕組みが少しでも伝わったでしょうか。
国会議員側としては、少しでも中身のある回答を引き出し、政策の検証や立案に生かしていきたい。
でも、内閣・政府は、なるべく入り口で絞り、細かく答えずに済ませたい。
国会議員と内閣・政府との攻防です。
当然、圧倒的な組織力と情報量を誇る内閣・政府に対して、国会議員ひとりでは徒手空拳です。
私一人では思いつかないような視点を、皆さんそれぞれお持ちだと思います。
はじめに述べたように、議員の大きな権限は、調査と質問です。
その権限を生かしきるには、幅広い知恵が必要です。
「この問題はこのタイミングで聞いてほしい」「このテーマは、こういう切り口で聞いたらどうか」。
あなたの声を受けて、山岸一生が切り込みます。
山岸一生が考える「ボトムアップ」の一つの形です。
どうぞあなたの力をお貸しください。
あ、でも、山岸一生は「午前4時に石神井公園駅」にはいませんが。
それでは、立憲民主党、東京9区選出の衆議院議員、山岸一生でした。