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新聞「軽減税率」で笑うのは誰か

 みなさん、こんにちは。立憲民主党の山岸一生です。

目次

消費税率が10%になって、2週間が経ちました

 税率が10%に上がり、軽減税率が始まり、キャッシュレス決済の場合は還元が、と、消費税の仕組みが大きく変わって2週間以上が経ちました。

 あなたは、新しい消費税の仕組みに慣れましたか?

 私、山岸一生は、消費税が10%に上がった初日の2019年10月1日、カフェでコーヒーを飲みました。

 店員さんに「店内で」と言って商品を受け取ってから、カフェの席が埋まっていたので、同じビル内でやや離れたテラスに座りました。

 「あ、これなら“持ち帰り”にすれば、消費税は8%だったか?いやそれはまずいのか?」

 と、ついつい煩悶。

 この制度を作った人は、込み合うカフェで席を取ったことのない人だということは、よく分かりました。

新聞への軽減税率

 増税による消費への影響も気がかりですが、それよりも気になるのが、新聞への「軽減税率」の適用です。

 週2回以上発行されている個別宅配の新聞は、今回、税率が8%に据え置かれました。

 一方で私が愛読している「朝日新聞デジタル」などの電子版の新聞、駅売りの夕刊紙、週刊誌、書籍などは、軽減税率の対象外です(ちなみに、「朝デジ」は税込み価格は変わりません)。

 日本新聞協会は「私たちは報道・言論により民主主義を支え、国民に知識・教養を広く伝える公共財としての新聞の役割が認められたと受け止めています」とのコメントを出しました。

 役割を果たすべく、頑張っていただきたいと思います。

 ですが、不安がぬぐえません。

 2019年9月に、読売新聞グループ本社の白石興二郎会長が、スイス大使に就任しました。

 白石さんは、新聞協会会長として軽減税率の適用に奔走した方です。

 ほんの十年ほど前まで新聞は、政府の諮問会議にメディア関係者が入ることすら、厳しくチェックしてきました。

 ところが超異例となる今回の人事には、ほとんど声が聞こえてきません。

 軽減税率適用に読売新聞が努力してきたことは周知の事実です。

 他社は、読売にかぶってもらう形で軽減税率の恩恵を得ることができた側面があります。

 その読売新聞のトップが名誉職にあずかる。

 確かに人の気持ちとして、文句は言いづらいかもしれません。

 しかし、こうした業界と政権の関係のありかたを「癒着」と呼んで厳しく批判してきたのが、私たちの知る「新聞」だったのではないでしょうか。

 いま、軽減税率を契機として、新聞や、新聞業界への批判が起こっています。

 軽減税率の適用で、苦しさを増す新聞社の経営は一息ついたようにも見えます。

 しかし長い目で見た場合、より多くのものを失ってしまう恐れもあります。

 安倍政権は、「新聞を読まない人は全部自民党」と麻生太郎副総理が放言したことに端的に表れているように、基本的に新聞を敵視しています。

 にもかかわらず、その政権によって新聞産業だけが特別に守られている。

 どういうことだろう?

「しょせんあいつらもグル」
「政権批判の記事も茶番」
「新聞は特権階級・上級国民」。

 こういう認識がさらに広がってしまうことを、私は恐れます。

 これは将来にわたって、新聞のアキレス腱になります。

 そして新聞を攻撃する側は、決して弱みを見逃しません。

 東京新聞の望月衣塑子さんが官邸前で集会をしたとき、一部の政権支持者が、「着ているものが高級だ」とバッシングしたことがありました。

 これが典型です。

 新聞業界が信頼を失えば、勇気ある記者が声を上げても、「あいつは特権側」と批判される。

 政権支持者が「新聞が権力に近い」と批判するのも変な話ですが、彼らの狙いが新聞の信頼を毀損し、新聞と市民の連帯を傷つけることにある以上、こうした攻撃はこれからも続くでしょう。

 軽減税率は、もうスタートしてしまいました。

 今すぐに返上するのは、現実には難しい。

 しかし新聞業界には、コメントを1枚出して終わると思ってほしくありません。

 当面の嵐は過ぎても、着実に信頼をむしばみ、攻撃者に付け入るスキを与えるでしょう。

 先ほど紹介した新聞協会のコメントは、こう締めくくられています。

 「欧州各国では、新聞、書籍、雑誌の税率を軽減またはゼロにしています。電子新聞に適用する国も相次いでいます。私たちは軽減税率の対象が欧州と同等に拡大されるように、今後も求めていきます」。

 ぜひ、本気でやってほしい。

 いっそのこと、今後5年間で書籍にも拡大できなければ、宅配新聞のみの軽減税率は見直す、「特権」ならいらない「知識」を守れ、と訴えてはどうでしょう。

 5年後には、「紙」で「宅配」の新聞が「生活必需品」とは、とても主張できない時代になっています。

 そのころになって政権が「もう新聞の軽減税率いらないよね」と言ってきても、新聞業界には反論する力も残っていないでしょう。

 じり貧に甘んじるのではなく、今こそ、自ら身を切る攻めの姿勢こそが、新聞の未来を拓くと私は信じます。

山岸一生よりご報告

 私、山岸一生は、立憲民主党「つながる本部」のコミュニケーション担当に就きました。

 何それ?

 国会と生活、議員と私たち…、遠い関係を「伝えて」「つなげて」「つくって」いく。全く未知の役割です。

 で、何するの?

 地道にコツコツと。

 今は「つだり」職人、その先は、あなたとつくります。

 きちんとした所信表明は、また近日中に。

山岸一生の編集後記

 国会の実況解説はお休みしているこのブログですが、昨日、今日は「国会、政治と、私たちのつながり」をテーマにして書いてみました。

 週末はまた雨の予報、場所によっては激しい雨になるとの予報が出ています。

 これ以上の被害が出ないことを切に願います。

 今日も、最後までご覧いただいてありがとうございます。

 それでは、立憲民主党の山岸一生でした。

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