2019/10/15
こんにちは、立憲民主党の、山岸一生です。
目次
先週末に上陸した台風19号は、各地で大きな被害を出しました。
亡くなられた方に、謹んでお悔やみ申し上げます。
ご遺族と、被災された方々にお見舞いを申し上げます。
被災した地域の復旧が、一日も早く進むことを願っております。
今日のブログでは、私、山岸一生がTwitterで行った、2019年10月15日の参議院予算委員会の実況解説を、まとめてお伝えします。
全文をご紹介するとブログがとんでもなく長くなってしまうので、立憲民主党の所属議員をダイジェストでまとめました。
立憲民主党は、杉尾秀哉さん、蓮舫さん、福山哲郎さんのオール4番打者です。
全文をご覧になりたい方は、山岸一生のTwitterをご参照ください。
「こんな時に国会審議?」「災害対応を優先して」との声、よくわかります。
被災された皆さんの気持ちに応える国会にしなくては。
なかでも被災地から選出されている議員さんが発言することで、政府の対応を促すような議論に期待したいです。
「対応」には
過去/現在/未来があります。
2のため河野防衛大臣らの退席はぜひ柔軟に。
その上で、1の検証と、3への政府の姿勢はきちんとただす。
私たち、立憲民主党をはじめとする野党は、そんな審議で、被災地の皆さんもご理解いただきたいと思います。
立憲民主党の杉尾秀哉さんです。
菅原一秀経済産業大臣による選挙区内でのメロン贈答問題。
先週の衆議院予算委員会に引き続いて、衆参の野党による連係プレーです。
まず、菅原一秀経済産業大臣の答弁をご紹介します。
菅原経済産業大臣「確認作業をしています。分かったこともあるが途中もあるため、今現在を申し上げたい。10何年前に取材を受け、当時の秘書が確認したら事務所には(贈答リストが)見当たらなかった」
菅原経済産業大臣「先週の指摘を受けて、改めて事務所で確認している。10年以上前で当時の秘書が残っていない。議員会館と(選挙区の東京都)練馬の事務所をすべて探したが、リストと領収書も見当たらなかったと報告を受けている。事務所でリストに掲載されている方々に、もらった記憶はあるかと確認作業をしている」
菅原経済産業大臣「が、台風、三連休もあってすべてはつながらなかった。途中経過だと、連絡が取れた方から『もらっていない』『分からない』という回答を得ている。事務所からお電話したところ『マスコミから取材が来ている、お宅の事務所で名前を教えたのか』とお叱りもいただいた。確認作業を進めていきたい」
「調査中」で逃れようとする菅原経産相に、杉尾秀哉さんが答弁のおかしさをついていきます。
杉尾さん「大量に配っていたら、覚えているはずだ」
菅原経済産業大臣「初めて(贈答リストを)見て、今現在そういう状況です」
杉尾さん「配ったかどうか覚えていないか」
菅原経済産業大臣「私の今の認識では、そういう認識がございません」
杉尾さん「配ったという認識か」
菅原経済産業大臣「配ったかどうかも含めて、資料がないので。資料があるかどうかを、事務所で確認した」
杉尾さん「資料の問題じゃない。自身として配った記憶があるかどうか聞いている。木曜日には『金品を渡したことはない』と断定的に言っている。後退しているが、記憶があるのでは」
菅原経済産業大臣「先週、本多議員と今井議員から質問いただいた。『配ったことあるか』と聞かれたので『現金かな?』と思って『それはありません』と答えた」
これは語るに落ちた。
「現金は配ったことがない、だけどメロンは配った」と言っているも同じ。
杉尾さんも「言い逃れだ」と手厳しいです。
元秘書さんが、なぜ告発をしたのか。
杉尾さんは菅原事務所に、パワハラや賃金不払いがあったと指摘しています。
菅原経済産業大臣「本当のそのような事実があるんでしょうか、逆に。未払いどうのこうのは、本当でしょうか。十何年前だとしても本当でしょうか、そういう記憶はございません」
菅原一秀経済産業大臣は、明確に否定しました。
菅原経済産業大臣の答弁をまとめます。
今日「ごはん論法」の一つがあらわになりました。
先週、菅原経済産業大臣は、「選挙区内で金品を配っていない」と答弁しましたが、今日は「配っていない」のは「カネ」のことだ、と言いなおしました。
「(メロンは覚えていないが)カネは配っていない」と。
いや、これは通りません。
他にも、多くのはぐらかしがあります。
贈答リストは「見つからなかった」 贈答は「今、私の頭にはない」 リスト作成を「命じたことはない」 給与未払いは「記憶はない」
いずれも、後からばれた時に言い逃れできるような余地を残した答弁です。
立憲民主党の福山哲郎さんです。
福山さん「人命救助、ライフラインが最優先。我々は予算委員会延期を申し入れました。残念ながら与党は拒否した。総理、今日予算委員会を開会された判断をしたのはなぜか」
福山さんは「野党は予算委員会の延期を申し入れたが、政府与党が開催を強行した」と訴えています。
なぜ予算委員会を優先したのか?
安倍首相「開催は委員会がお決めになる」
福山さん「建前のような答弁しないで。なぜ開いたのか」
安倍首相「政府は要求に応じざるを得ない」
福山さん「自民党、公明党。両党が大臣を張り付けることを決めたと、それを総理が了としたと。我々は延期をお願いした。総理はOKしたから出ている」
委員会の開催は、確かに予算委員会理事会で決めます。
しかし、予算委員会の委員長は自民党の金子原二郎さんです。
首相は「委員会で決める」と言っていますが、政府の都合で委員会の日程が動くのは、公然の秘密です。
財務省の文書改ざん問題で、委員会への書類提出のタイミングなどでも、皆が分かっていることです。
福山さん「審査方針を見直す指示は誰からいつ出たか」
文化庁次長「交付決定されておらず(略)審査作業を見直したとは認識していない」。
そもそも決定前なので審査過程のさなかであり、「取り消し」や「見直し」ではないという理屈のようです。
過去に例はあるか、福山さんがただします。
文化庁次長「確認できておりません」
あれ、なかったのではないですか?
文化庁次長「これまでご説明が不適切だったかもしれませんが、『ありません』というのは『確認できていない』という意味で申し上げた」
なぜ、いちいちはぐらかすのでしょう。
福山さんが確認しています。
文化庁次長「事前のご説明では『現時点ではありません』と述べた。今のところは見つけられておらず、ありませんと申し上げた。
福山さん「現時点ではないんですね」
文化庁次長「その通りです」
初めから言えばいいのに。
いかにもこの事態の特殊性、異常性を覆い隠したいように見えます。
福山さん、不交付に至る手続きを一つづつ、詰めていきます。
福山さん「現地で確認したか」
文化庁次長「現地には赴いていない」
福山さん「有識者に確認したか」
文化庁次長「手続きの流れに沿って、担当課にて関係法に基づいて審査し、全額不交付とした」
これに野党理事が抗議、再答弁です。
文化庁次長「意見は聞いていない」
福山さん「宮田長官はいつの時点で確認して、決裁いつ上げたのか」
宮田文化庁長官は東京芸大学長で、自身も工芸家です。
宮田文化庁長官「私は決裁はしておりません」
福山さん「いつ報告を受けたのか」
宮田文化庁長官「第一報は2019年7月31日。その後随時、報告や不交付決定の報告を受けてきた」
事務方が決めた、ということです。
福山さん「専門家にも聞かない、現場にもいかない。非常に不透明だ。官房長官、文科相の発言がスタートになっている。極めて不透明で、結論ありきだった」
事務方が淡々と決めたと言い張るほど、不自然です。
福山さん「不交付決定の撤回を再検討すべき。不自由展は無事に開催して終わっている。表現の自由に大きな自粛を生み、事実上の検閲として働く。今回、脅迫者から見れば、テロ行為を脅すだけで気に食わない表現を制限することができた。総理は『テロに屈しない』と言ってきた。文化行政として不適切だ」
テロに屈しない強い姿勢をアピールしてきた安倍首相。
どう答えるのか。
安倍首相「表現の自由とともに、公金支出について正しいかどうか。その観点から文化庁が答弁した通りだ」
ゼロ回答です。
福山さん「再検討すべきだ」
自身がアーティストでもある、宮田文化庁長官に答弁を求めます。
宮田さん、読み上げての答弁です。
宮田文化庁長官「表現の自由は極めて重要だ。今後とも大変大切であると思っている。他方、今回の決定は申請者の手続き上の問題。もし誤解が生じるようであれば、理解が得られるように努力してまいりたい」
宮田文化庁長官「中止や再開にかかわらず、申請者の(略)全く申請しなかったことによります。それによって、不交付決定を見直す必要はない」
福山さん「日本はテロに屈した、表現の自由に介入した。こういうことで傷がつく、委縮効果が出ることに非常に抵抗がある」
福山さん、萩生田文部科学大臣をスルーして、文化庁の手続きに的を絞ることで、意思決定の不自然さをあぶりだしました。
宮田文化庁長官の答弁からも、長官は蚊帳の外で文部科学省内で相当な政治的「忖度」があったことが匂いました。
ただし、まだ明らかになっていないことが多い。
勇気ある官僚の声が、壁を破るかも。
立憲民主党の蓮舫さんです。
ターゲットは官民ファンド・クールジャパン機構。
菅原経済産業大臣「うまくいくものといかないものがある」
竹本内閣府特命担当大臣(クールジャパン戦略担当)「(投資は)残念ながら100%とはいえない」
税金は、あなた方のばくちのタネ銭じゃない。
蓮舫さん「国有財産を使うから、収益も出さなきゃいけない。極めて難しい。竹本大臣『失敗も成功もある』。大丈夫ですか」
竹本内閣府特命担当大臣(クールジャパン戦略担当)「結果としては厳しい結果があると申し上げている」
蓮舫さん「結果として赤字出していいのか」
菅原経済産業大臣「当然、黒字を目指すべきで、赤字は好ましくない」
蓮舫さん「竹本さん、訂正してください」
竹本内閣府特命担当大臣(クールジャパン戦略担当)「最初から赤字を目指すことはあり得ない」
議場、失笑。
当たり前のことを、「どや顔」で言わないでください。
蓮舫さん「クールジャパンてなんですか。定義は」
竹本内閣府特命担当大臣(クールジャパン戦略担当)「なんかあの、魅力を感じるというかですね。日本の魅力を感じる、そういうことを言っている。カッコいいことを『イカす』と言った。日本文化のある側面が、外国から見たら素晴らしいと…」
もう十分です。
確かに、クール(寒い)ですね。
クールジャパン機構では、役員の関係会社に投資をしている案件がたくさんあります。
自分の関係会社に、税金から投資させてもらえる?
そんなおいしい話、あるんでしょうか。
菅原経済産業大臣は、「議決には加わっていないので、利益相反に当たらない」との答弁です。
しかし、そういう問題でしょうか?
個別の議決は外れるとしても、ボード全体として「利益集団」になっている可能性はないのでしょうか?
蓮舫さん「(マレーシアの案件で)11億投資した。収益は」
菅原経済産業大臣「答える立場にない」
蓮舫さん「なぜか」
菅原経済産業大臣「個別案件は不利益を与える可能性もある。他のファンドと同じく、開示を望まない情報は非開示」
機構役員の関係会社に投資ができ、赤字になれば公表しなくていい。
これではモラルハザードは避けられないのではないでしょうか?
蓮舫さん、情報公開を求めます。
菅原経済産業大臣「改革を断行していきたい」
問題はわかっているようです。
でも、もはや開けられない伏魔殿、パンドラの箱になっているのでは?
道路特会など「第2の財布」が問題になって20年近く。
「昔ロード、今ファンド」
そんな語呂合わせを思い浮かべました。
官製ファンドが、役所の使いやすい「新・第2の財布」に。
それがモラルハザードを起こし、国民の税金を食い物にし始めている、ファンドの「暴走」が起こっているのではないだろうか。
安倍政権は、官製ファンドを推し進めてきました。
旗振り役は世耕前経済産業大臣であり、官邸を牛耳る経産官僚たちです。
税金では直接やりづらい「意欲的」な事業を、ファンドで「機動的」に進める。
聞こえはいいですが、そろそろ潮時。
功罪を明らかにする時期です。
蓮舫さん、一通りただした後クールジャパン機構に戻ってきます。
蓮舫さん「機構で沖縄に関連し100億円投資を決めた。事業内容を」
菅原経済産業大臣「吉本興業、NTTとともに教育コンテンツを海外に展開するプラットフォーム事業に出資する」
蓮舫さん「適切に選定されたか」
菅原経済産業大臣「選定は機構が行って、政府は関与しない」
「吉本興業」の名前が出てきました。
安倍さんが吉本新喜劇に出たり、いろいろありました。
蓮舫さん、何を追及するつもりなのか。
「基地跡地の未来に関する懇談会」に話題を転じました。
衛藤沖縄担当大臣にメンバーを尋ねています。
基地跡地懇談会のメンバーを、衛藤沖縄担当大臣が紹介します。
吉本興業の大崎会長の名前が、一番最初に出てきました。
蓮舫さん「なぜ突然、吉本会長が入ったのでしょうか」
衛藤沖縄担当大臣「あなたの町に住みます芸人など、沖縄に大変注力しており、沖縄の発展の可能性に知見がある方で、指名したと理解している」
蓮舫さん「クールジャパン機構から100億の投融資。いきなり懇談会に任命。基地跡地に(吉本興業の)求めるアトラクション施設を作るための懇談会では」
経産ファンドが吉本興業に投資、内閣府の懇談会には吉本興業の会長を起用。
すべてが、吉本興業の施設を沖縄に作る「オチ」ありきの、仕込みではないかとの指摘です。
蓮舫さん、ここで安倍首相と吉本の関係をただします。
「総理は吉本新喜劇に唐突に出演されている。官邸にお招きしている」「森友加計と同じじゃないか。まだこういうことをやっているのか」
安倍首相に近い人が、不透明な手続きによって、利得を得る。
その構図が共通していると指摘しています。
首相答弁です。
安倍首相「私が吉本に出た、そのあと吉本が官邸に来た、これはG20の交通規制で協力をいただく。非常に強い発信力を持っている吉本に協力いただくのが適切と考えた」
東京オリンピックでも、芸能人を大量起用するんでしょう。
実は全員、総理と楽しくお花見したメンバーだった、とかなるんだろうな。
蓮舫さん「沖縄には吉本興業以外に松竹芸能もある。あえて総理が行ったところが今年不透明な動きがあって(起用され)、議事録が非公開なのはおかしい。メンバーを変えたほうが疑いをもたれない」
沖縄の夢である跡地利用を「跡地利権」にしようとする動きは要警戒です。
吉本興業と安倍政権の関係は、蓮舫さんも断定する言い方はしていません。
まだ明らかになっていないことが多いです。
ただ、人を楽しませることがウリの会社が、政権と不透明な関係を作って利権に食い込んでいるとしたら、これほど「笑えない」話はありません。
ダイジェストにしてみましたが、それでもかなり長くなってしまいました。
ここまでご覧いただいてありがとうございます。
でも、ダイジェストもいいけれど、時系列で全文を読んでいただいた方が面白いかな、とも思います。
興味のある方は、山岸一生のTwitterをフォローしてご覧いただければ幸いです。
Twitterで多くの皆さんに、いいね、や、リツイートをしていただくことが多く、ありがとうございます。
皆さんに少しでも政治をわかりやすくする、政治に興味をもっていただく、国会の質疑のポイントをご紹介する、そんな一助になれば幸いです。
東京も、今朝はかなり冷え込んでいました。
札幌医科大学・札医の方の話しをうかがうと、北海道では今シーズンの初氷を観測した場所も多かったそうです。
皆さん、特に台風で被災された皆さんはぜひ、暖かくしてお休みください。
それでは、立憲民主党の山岸一生でした。