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山岸一生の長崎県対馬取材レポート第3~「対馬」と「練馬」、一文字違いの地域の重要土地規制の違いを考える

 みなさん、こんにちは。立憲民主党の衆議院議員(東京都9区(練馬区)選出)の山岸一生です。

目次

山岸一生の長崎県対馬調査・ここまでの振り返り

 前回まで、私、山岸一生が長崎県対馬で取材、調査してきたことをご報告してきました。

日韓トンネル

 第1弾が、旧統一教会と「日韓トンネル」を追う、として、旧統一教会の関連団体が進める「日韓トンネル」についての取材、調査をご報告しました

 この取材、調査は、私、山岸一生が私費で、独自に行ったものです。

重要土地規制

 第2弾が、重要土地規制の発端「対馬の韓国ホテル」を見る~「安全保障上の脅威」の虚実~として、私、山岸一生が衆議院内閣委員会の調査団の一員として訪れた、長崎県対馬の重要土地規制の実態についてご報告しました

 第3弾は長崎県対馬での取材、調査のご報告の最終回として、重要土地規制の問題について前回とは違う視点で考えてみたいと思います。

重要土地規制における「対馬」と「練馬」

 今回の、衆議院内閣委員会の調査団の一員として行った長崎県対馬調査で、もう一つはっきりしたことがあります。

 それは、「対馬」と「練馬」の大きな違いです。

 「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」(2021年法律第84号)(長い法律名ですので、このページでも以下では略称である「重要土地規制法」と呼びます。)では、対象施設の「1キロメートル以内」を監視するとされています(重要土地規制法第5条第1項)。

 以下、監視ラインとなる「対象施設の1キロメートル」について具体的な地図を見ながら考えてみます。

 なお、「わかりやすさ」のために、簡易的に「施設の中心部から半径1キロメートル」の円で示しています。

 重要施設の位置や大きさに応じて監視ラインは設定されますので、「実際の監視ライン」とは異なります。

長崎県対馬の海上自衛隊基地の「重要土地規制」の監視ライン

 この地図は、長崎県対馬の海上自衛隊基地を中心に、重要土地規制法で監視の対象となる半径1キロメートルを赤線で図示したものです。

 ご覧いただければわかるとおり「監視対象」の半分以上は海、陸地も多くが森林が占めており、住宅地となっているのはごくわずかです。

東京都練馬区の陸上自衛隊練馬駐屯地の「重要土地規制」の監視ライン

 一方、こちらは、東京都練馬区の陸上自衛隊練馬駐屯地を中心に、重要土地規制法で監視の対象となる半径1キロメートルを赤線で図示したものです。

 長崎県対馬と同じ半径1キロメートルですが、ご覧いただけばわかるとおり「監視対象」のほぼすべてが住宅地密集地です。

 なお、東京都練馬区には陸上総隊司令部のある朝霞駐屯地も一部立地しています。

 こちらも同様に住宅密集地に囲まれており、半径1キロメートルの「監視対象」のほぼすべてが住宅地密集地です。

「対馬」と「練馬」の違い

 「対馬」と「練馬」は一文字違いですが、影響を受ける人口が一桁どころではなく、全く別次元であることは一目瞭然です。

 このように、「重要土地規制」と一口に言っても、過疎地や国境離島にある自衛隊施設の「周囲の山野を外資系企業が開発する」という場合と、都心部にある自衛隊施設の「周囲の住宅地を一般住民が売買する」というケースでは、まったく様相が異なります。

 もう少し、具体的に、深く考えてみます。

 例えば、調査の在り方も、こんな違いがあるでしょう。

 長崎県対馬だったら、数少ない住民や釣り客、観光客らに対する「狭く、深い」徹底監視になってしまわないか。

 逆に、東京都練馬だったら、数万人にのぼるであろう住民を「広く、浅く」把握するために、自治体に協力させて網羅的な個人情報取集を行ってしまう可能性はないか。

 このように、懸念される状況も、大きく異なります。

 前回のブログでもお伝えしたように、私、山岸一生は、重要土地規制そのものには一定の合理性を認めます。

 しかし、どのようなケースでも「行き過ぎ」がないように、丁寧な制度設計がとても大切になると考えます。

 すべてにおいて調査・監視を優先していたら、健全な市民活動、経済活動が阻害されてしまいます。

 そもそも、内閣府にそのような調査・監視を遂行するキャパシティーもありません。

 これも前回のブログでお伝えしたように、「どこで」「何から」「何を」守るのか、そのために「どのような制度」が必要なのか、逆に「やってはいけない」ことは何か。

 このような丁寧な積み重ねが必要だと考えます。

 これからまもなく、重要土地規制について、具体的な対象区域と、調査・監視の手順が決まっていきます。

 今回の長崎県対馬訪問で得た知見をもとに、秋の臨時国会では、「重要土地規制法」と重要土地規制について、これからの運用を厳しくチェックしていきます。

行政のチェック機能

 野党が国会で果たす重要な役割の一つが「行政のチェック機能」です。

 これは「政権与党に対する野党の難癖」でもなければ「なんでも反対する野党」というものではありません。

 あくまで、政府・行政府の行為におかしなこと、行き過ぎはないか、市民の皆さんの自由な活動、権利が過剰に侵害されていないかをチェックするものです。

 行政を進めるのは政府・行政府の重要な役割です。

 しかし、行政府の仕事に行き過ぎや誤りはないか。

 野党が国会で行う「行政のチェック」は、政府・政権与党と「敵対」するものではなく、政府・政権与党との「役割分担」で市民の皆さんの権利・自由を守る「民主主義」の根幹です。

 私、山岸一生の選挙区である練馬の皆さんも、重要土地規制の問題は「自分ごと」としてご関心をお持ちの方が多いです。

 地域の皆さんを始め皆さんからのお声をお寄せください。

 これで3回に渡って連載した、私、山岸一生の長崎県対馬での取材、調査の報告をひと区切りにします。

 立憲民主党の衆議院議員、東京9区(東京都練馬区)選出の山岸一生でした。

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